改正個人情報保護法FAQ

 患者さんの同意の要否について

 症例報告時の同意取得について

 教科書執筆時の診療情報の取り扱いについて


 患者さんの同意の要否について

Case 同意の要否
法令に基づく場合(がん登録・不在者投票のためなど) 同意不要
対象者死亡(個人情報ではないと定義される) 同意不要(ただし、医・介ガイダンスでは個人情報と同様の配慮が必要とされている。)
個情法76条3項の研究目的 倫理指針ガイダンスに従う
診療目的 同意不要
院内の病院運営(経営・教育) 同意不要
研究会での症例報告・専門医登録のための症例報告 同意不要(ただし、Opt-outは必要)
個人識別不可能 同意不要
その他(教科書執筆のためなど) 同意必要

 症例報告時の同意取得について

診療情報を研究会にもっていって、症例提示する時に、

の2種類があると思っていますが、手続きは違うのかどうか? 手続きは、京大KINGシステムでの二次利用申請と画像情報の匿名化だけでOKで、 ご本人から直接に同意取得までは不要、と思ってますが、それでいいのでしょうか?

まず、利用目的が画像の本人の診療目的かどうかがポイントであり、 画像の本人の診療目的であれば、同意は不要です。 (正確には黙示の同意の範囲内。) 上記の点から、「京大病院関係者だけ」の場合に関しては 画像の本人の診療目的であると推測され、同意は不要です。 もし、教育目的であったとしても、院内の運営目的のため、 同意は不要です。 「京大病院以外の人もいる」場合に関しても、 画像の本人の診療目的であれば、同意は不要です。 ただし、画像の本人の診療目的ではなく、他の診療に活かすための 情報の共有だとすると、上記の理屈は成り立ちません。 その場合、「医療・介護関係事業者における個人情報の 適切な取扱いのためのガイダンス」にて 研究会での研究目的での症例報告は同意不要(ただし、opt-out は必要) とされているため、同意は不要です。 (opt-out: 患者さんが使用を止める権利があり、 使用の停止を求められれば使用できない。) つまり、どちらのケースも同意は不要と整理できますが、 最後の「研究会での研究目的での症例報告」の場合は opt-out は必要です。


 教科書執筆時の診療情報の取り扱いについて

教科書執筆で、診療情報を利用して教科書を書くときに

で必要な手続きが違うものでしょうか? すべての事例で患者さん本人から直接に同意書を取得すればいいと思いますが、 それをしなくてもいい場合はどんなのがあるか、知りたいです。

商業目的かどうかは特に定められていないため、 商業誌か無料で配布するパンフレットかは関係ありません。 続いて、診療情報を同意なしに利用できるかどうかについて、 「研究会での研究目的での症例報告」は同意不要(opt-out要)と されているものの、教科書は教育目的であり、同様には考えられません。 そこで、特定の個人を識別できるかどうか (個人識別不可能匿名化ができているかどうか) ということがポイントになります。 希少症例であれば、同意が必要です。 希少症例でない場合、少量の診療情報であれば、 特定の個人を識別できないため、同意は不要と考えられます。 ただし、掲載する診療情報が増えると個人が識別できる可能性が上がるため、 同意を取っておくことが望まれます。


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